沈黙の薔薇

 

桜の樹の下に眠る美女は、あんなにも美しく花を咲き乱せた。
それなのに何故あなたは、
今も静かに枯れ落ちて逝くのを待ち続けるのだろう?

麗しき僕の美学の為だけに、
あの薔薇の園にキミを埋めてしまっても構わないかい?
構わないさ…。
それがあなたへの僕の愛の証だから。

渇いた憂鬱が望む愛は、この僕の美徳さえ惨劇へと変えた。
悪魔の胎動が胸に響く。
「残酷で在ってこそ美は成り立つのだよ。」、と。

狂おしき僕の殺意の為だけに、
あの薔薇の花をキミの胸に咲かせても構わないかい?
構わないさ…。
そして花と為ったあなたは永遠に美しい。

 

血塗れでナイフを握り締め、立ち尽くす。
赤い涙を流して…。

僕が望んだ愛の形にあの薔薇は、
沈黙を以てそれに答えていた。

 

太陽の光が闇に覆われた瞳を刺し、僕は目覚めた。
呪われた悪夢から開放され、現実の世界に歓喜の涙を流した。

「ああ…。でも何故、目の前であの薔薇が美しく咲いているのだろう?」

正気に戻っていた筈の僕は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

狂っていた。